北鎌尾根
7/25 ☀⛈ 上高地10:40ー横尾キャンプ場13:40
7/26 ☀⛈ 横尾4:30ー水俣乗越分岐7:15ー水俣乗越8:30ー北鎌沢出合10:30ー北鎌のコル14:00
7/27 ☀🌧 北鎌のコル4:40ー独標6:40ー槍ヶ岳10:50ー殺生ヒュッテテント場11:50
7/28 ☀ 殺生ヒュッテ6:30ー横尾9:50/10:20ー上高地13:00
共同装備 : 2人用テント、30mロープ、ジェットボイル、2.3日目の水
加藤文太郎氏、松濤明氏の遭難の地で知られるバリエーションルート、槍ヶ岳北鎌尾根にチャレンジしてきました。リーダーは2回目ですが、M藤は初見のため事前に経験者の先輩方にアドバイスをいただきネットで調べまくりました。天気の関係で出発が4日遅れたため、へんにソワソワしてしまい、普段の予習ではまずやらない動画も視聴しました。(動画を先に観てしまうと当日の感動が薄れてしまう気がするため、いつもあえて観ないようにしてます)
「かほちゃんはガイドさんとコンテで登ってました」、「そうなんですね」、「あのー 予習しすぎてちょっと怖くなっちゃいました」、「………」、、、 これ以上話してもリーダーから期待する返事は得られないと判断し、かほちゃんの話をするのはやめました。

Y崎さんからいただいた情報と自分で調べたメモ書き
初日は横尾まで。連日午後早い時間から雷雨なのでささっと歩き、ギリセーフでテントを張りました。雨が止んだ後に外でビールを飲みながら3週間前に登った明神岳1峰から前穂の稜線を眺めました。水場前で女性登山者とお互い「どちらに行かれるんですか?」と定番の会話を交わし、「北鎌に…」と答えると、すごーいと羨望の眼差し。ホントぜんぜんすごくないですと恥ずかしくなりました。

天上沢からの槍ヶ岳
二日目は北鎌のコルまで。横尾から850m高度を上げて水俣乗越に、そこから意を決して天上沢に降りバリエーションルートに入るのですが、ありえない程のザレザレの急斜面で5回転び、続く雪渓からの長すぎるゴーロ帯で600m下って北鎌沢出合に到着。ここから再び600m高度を上げながら北鎌沢をつめて北鎌のコル、北鎌尾根に出ます。翌日の行動分までの水を右俣で2ℓずつ汲んでからのクライミングは大変でしたが、休み休み楽しみながらいけました。

貴重な水をテント内で大量にこぼして大洪水になっても怒らなかった優しいリーダー

北鎌沢を3時間半つめる
上空をヘリが旋回してるのを不思議な気持ちで見上げて、52歳の男性が疲労で行動不能になり救助されたことを後でニュースで知りました。この日は 損傷の激しいザックが4個、引き裂かれた衣類、片方だけの登山靴が岩間に放置されてるのを見つけて、一目で絶対によろしくない状況の残置物とわかりました。リーダーの的確なルーファイのおかげで私は遭難しませんでしたが、場合によっては残置ザックの持ち主や52歳の男性と紙一重になってしまうこともあると思いました。
雷雲との追いかけっこでコルに到着して、わずかなスペースにテントを設営したら気絶したように眠りにつきました。

夜中に北鎌のコルを通過した人がYAMAPに載せてた私たちのテント
三日目はいよいよ槍ヶ岳登頂。大槍に取り付く時に疲れすぎてないように今回は3泊4日の行程にしました。前の日に爆睡したおかげで起きたら体力は回復してました。テントの外でなにやら動物が動く気配がするので笛を吹いたり熊鈴を鳴らしたりして追い払いました。ほんと焦りました〜

天狗の腰掛からの独標の眺め
ご飯を食べてまずは独標に向かいます。稜線歩きは景色が最高で、右側は双六・三俣蓮華・鷲羽・水晶、左側は表銀座・パノラマ銀座と 北アルプスオールスターズ。この景色を見られただけで北鎌尾根に挑戦した甲斐がありました。景色を楽しむ余裕があったのはリーダーの体力・技術・経験に全幅の信頼を寄せているからです。ただ、危険箇所での「気をつけて、落ちたら終わりだよ」の声掛けには表現にもうひと工夫欲しいところでした。

逆コ

トラバース

独標

おおっ、かっこいい✨
事故が多い独標トラバース辺りからの岩は脆くて、触ったホールドが次々と剝がれ落ちるので、慎重に慎重に登っていくとようやく槍が見えてきました!うわぁ かっこいい✨大槍の右側に小槍がある構図は北鎌からだけでしょう。槍の手前には目視で大小10個ほどのピークがあり、基本稜線通しのアップダウンの連続でひどく消耗した体でカニのはさみ(大槍取り付きの目印)を経てテラス到着。休憩して気持ちを落ち着かせてから大槍へ登り始めました。

登ってきた稜線

カニのはさみを目指して
北アルプスは憧れの涸沢カールに行ったのが初めてで、その翌年に北穂から奥穂を歩き、折立から上高地までの大縦走では西鎌尾根をふらふらになって歩いたな、ジャンもやれたし、妙義山や二子山での訓練も頑張ってきたつもり、どの山行も先輩や仲間に助けてもらって今日があり、槍に登頂したら泣くんだろなとエモくなっていたところ、ここまで完璧だったリーダーの動きが怪しいのに気が付き現実に戻りました。
「ルートがおかしいな」「えっ、去年登ったのはここじゃないんですか?」「ちがう」「ひぃぃ なんで~」

ここから大槍に登ると危険かも⁈
4m程だけど爪先しか足が置けないトラバースで、下を見るとまさに奈落の底といった感じの ”落ちたら終わり” の難所にきてしまいました。ぱっと見クライミング自体は簡単そうだけどとにかく怖い。ロープを出してもらってるうちに恐怖心にのまれると進めなくなるので、フリーでリーダーの待つほうに早く行こうと安全な手足を探し、3回目のトライで岩の弱点に乗っかれました。やった! 山頂から登山者の声が聞こえてきました。まもなく登頂するリーダーも登りながら励ましてくれてます。「松、頑張れ、頑張れ、、、あれ? あっ、あれー???」

達成感でいっぱい
どうも想定してたルートとは違ったようでした💦 祠の真裏から頂上に立ち山頂にいる皆さんに拍手で迎えられるはずが、祠の横から出てきてしまい、なんかへんな所から人が上がってきて写真の順番の列に横入りされた、という微妙な空気に (;^_^… 涙もなくそそくさと列の後ろに並ぼうとすると、一人の男性が声をかけてくれました。「北鎌からですか?すごいですね!」「‥はい(ニヤリ)」 そしてガイド風の女性も「すごいですね~」「・・そんなそんな、ヤリとげました(ドヤ顔)」 ありがとうございます。さっきは予想外の雰囲気になっちゃったけど、讃えてくれたあなた方のおかげで救われました。でも ”祠の横からだからダメ、やり直し!”とY崎さんの声が聞こえたのは空耳でしょうか?

下に槍ヶ岳山荘、一般登山道はありがたい
翌日は一般ルートで上高地に下山し、4日間ケガ無く無事に踏破できたことを安堵しました。
北鎌尾根は登りごたえ抜群で素晴らしいルートでした。私より2倍以上重い共同装備を背負い、安全に気を配り、かけがえのない経験をさせてくださったリーダーに感謝してます。

ありがとう槍ヶ岳。楽しかったよ、また来年!
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素晴らしいとしか言いようがない!!