夏の裏銀座・W五郎岳大縦走(森の熊さんと出会った)
[行程]
7/26 竹橋7/25 22:30(バス)=七倉ダム3:40/5:20(タクシー)=高瀬ダム5:40-烏帽子小屋10:10/11:00-烏帽子岳11:45/12:00-烏帽子小屋12:50(テント泊)
7/27 烏帽子小屋3:45-野口五郎小屋7:00-野口五郎岳7:30-真砂分岐8:05-水晶小屋10:30/11:00-水晶岳11:30-水晶小屋12:10-鷲羽岳14:05/14:20-三俣山荘15:20(テント泊)
7/28 三俣山荘3:30-三俣蓮華巻道4:00-三俣山荘4:30-三俣蓮華岳5:30-黒部五郎小舎7:10/7:35-黒部五郎の肩10:05-黒部五郎岳10:20-中俣乗越12:05-北ノ俣岳14:20-太郎平小屋16:20-太郎平キャンプ場(薬師峠)16:35(テント泊)
7/29 太郎平キャンプ場(薬師峠)6:00-太郎平小屋6:20-青淵ベンチ8:15-折立9:40/11:45(バス)=新宿西口20:30
[メンバー]O田、A原
2年前に一度計画した3泊4日の裏銀座縦走でしたが、その時は台風が来てしまい残念ながら中止に。
昨年は何かと忙しくて実行できませんでしたが、ついに今年、念願の裏銀座縦走を実行できました。
前夜に3泊4日のテン泊装備をザックに詰め込み、いざ竹橋へ。
毎日アルペン号に乗って3:40七倉に到着。
5:00頃から七倉にタクシーが来て登山客を高瀬ダムまで運んでいきます。
私達も5:20頃にタクシーに乗れ、ようやく出発地点の高瀬ダムに到着しました。
ちなみに、タクシーに同乗した女性お二人は登山系Youtuberらしく意気投合してました。
(でも、ごめんなさい。私達はお二人とも存知上げませんでした💦)
高瀬ダムからトンネルを抜けると広い河原に出て、登山道の目印に沿って歩きます。
20分ほどで烏帽子岳方面へ登るブナ立尾根登山口に到着します。
このブナ立尾根が急登でキツイのなんの。まだぎっしり詰まったザックが重くて大変でした。
後で知ったのですが、このブナ立尾根は北アルプス三大急登の一つだったそうです。
個人的には同じく北アルプス三大急登の合戦尾根よりキツく感じました。
ブナ立尾根の急登を登り続けること約4時間、ようやく烏帽子小屋に到着しました。
烏帽子小屋の脇にはイワギキョウが咲き誇ってとても可愛らしかったです。
宿泊地の烏帽子小屋にテントを張ったあと、軽身で烏帽子岳に向けて出発。
夏とあって、午後になると雲が湧いて出てきて、もたもたしていると雨が降り出しそうです。
烏帽子岳方面へ向かうと、ザレ場にコマクサの群生地があり、ピンクの花を咲かせていました。
そして群生地の先に尖った岩峰の烏帽子岳が見えてきました。
なんか、雰囲気的に表銀座の燕岳に似た感じがしますね。
鎖場もある岩場を攀じよじしながら烏帽子岳山頂到着。
無事、初日の第1峰をクリアできました。
テントに戻って今日の疲れを癒やす一杯を飲み干し、魚肉ソーセージをトッピングした塩ラーメンは美味しかった。
その後、3時頃からでしょうか、雷鳴が鳴り、夏の夕立⛈️があたりを濡らしましたが、それまでにテントに戻れていて良かった。
2日目の朝、まだ星明かりが見える時間に烏帽子小屋から野口五郎岳を目指して出発します。
山体が次第に明るくなり、朝焼けの稜線をコマクサが彩り、私の語彙力では言い表せない美しさがありました。
途中の稜線で、北アルプスのランドマーク槍ヶ岳が遠くに見えてきました。
チングルマの群生があったので、槍ヶ岳をバックにチングルマの鉄板構図で一枚。
そんな稜線をウキウキ眺めながら歩き、野口五郎小屋を通り過ぎたら程なく野口五郎岳の山頂に到着。
W(ダブル)五郎岳の最初の一座に登頂です。
ちなみに、歌手の野口五郎はこの山から名前を貰ったとのことです。逆じゃないんです(笑)
野口五郎岳を後にして、次は水晶岳を目指しますが、この間がまたなかなかの難道。
まだ午前中とはいえ、出発してからすでに6時間近く歩き続けていると結構疲れてきます。
A原さんが「お腹すいたー😢」「疲れたー😢」「足が痛いー😭」などとブーブー文句ばかり言うのをなだめながら、ようやく水晶小屋に到着。
確かにお腹が空いたので、小屋でなにか食べようと入ったところ、美味しそうな「お稲荷さん」が❤️
水晶小屋の名物はお餅の入った「力汁」らしいが、今の私達には断然「お稲荷さん」。
酢の効いた甘酸っぱいご飯がすっごく美味しくて、疲れが吹き飛びましたよ。
水晶小屋から水晶岳までは往復1時間ほど。
お腹も満たされ、荷物は水晶小屋にデポって足軽に水晶岳へ出発。
水晶岳は尖った岩が連なる岩峰で百名山の一つです。
無事に山頂にたどり着き、百名山の一つをクリアできましたが、ちょうどガスってしまい景色は望めませんでした。
水晶岳を後にして、本日の百名山2座目となる鷲羽岳に向かいます、、、が、その長~い道のりに愕然。
疲れきった体に応えます。もう、稜線ウキウキ気分なんてどこへやら。
でも、ヘトヘトになりながらも、鷲羽岳山頂に到着。ホント疲れた~💦
2日目の行程はあと、三俣山荘まで鷲羽岳を降るだけ、、、ですが、この降りがまた長くて険しい。膝が痛い😭
そんな絶望の中、岩の間からひょっこり雷鳥が顔を出し、登山道を私達の方へ向かってトコトコと歩いてくるではありませんか。
その可愛さに少しだけ癒やされ、気分は上がりましたが、雷鳥が出るということは、、、やっぱり、その後に雷鳴が鳴り、雨⛈️が降り出しました。
今日は雨の降り出し前にテン場までたどり着けず、雨に濡れながら歩くことになりました。
雨が降る中を1時間ほど歩いて、ようやく三俣山荘に到着。足は棒だし、濡れて寒い😭
山荘内で休みながら雨が止むのを待ちましたが、すぐに止まなかったため、仕方なく小雨が降る中テント設営。
雨にあたって寒かったので、ご飯を食べて温まる。カレーとサバの味噌煮は意外と相性が良くて美味しかった。
ご飯を食べ終わった頃には雨も止み、空に青さが戻っていました。
すると、さっき降りてきた鷲羽岳がはっきりと見え、「うわ~、あんなとこ降りてきたんだ~😯」と、ちょっと感動。
この日の行動時間は約12時間。翌朝も早いし、もう疲れきっていたので、明るいうちに就寝となりました。
3日目の行程は三俣山荘から黒部五郎岳を経由して太郎平キャンプ場までの、これまたロングトレイルコース。
少しでも時間を稼ごうと、三俣蓮華岳には登らず巻き道を行こうとしましたが、、、途中、雪渓に阻まれ結局は引き返すことに。
時間を稼ぐつもりが逆に1時間タイムロスし、更に三俣蓮華岳を登らなくてはならずコースタイムが30分プラスに😭
朝イチのルート選択ミスで気分は落ち込み気味でしたが、朝日が昇れば、それはそれは美しい景色。タイムロスのことなどどこへやら。
三俣蓮華岳に登ると、次に目指す黒部五郎岳の全容が。大きい山だな~。
結局、三俣蓮華岳登って良かったかも。
三俣蓮華岳からどんどこ降ること約1時間30分。
黒部五郎岳の麓に佇む黒部五郎小舎に到着。
この小屋へは、どこの登山口からも通常は1日ではたどり着けない北アルプスの秘境の小屋として人気。
その佇まいや、小屋周辺の情景が素晴らしく、私も一度泊まってみたい。
黒部五郎小舎の居心地の良さに少々長めの休憩を取った後、いよいよ黒部五郎岳のカールに向けて出発。
黒部五郎岳のカールはいくつもの清い沢が流れ、花々が咲き誇り、蝶が舞い、まさに楽園のようなところでした。
その清流に靴を脱いで(超臭い)足を付けた時の気持ちよさと背徳感はなんとも心地よいものでした。
カールの景色に癒やされ歩いていると「グェ~」と鳴き声が聞こえ、そちらに振り返ると第1村人(雷鳥)を発見。
こんな楽園に住んでいるとは、なんとも羨ましい。私も住まわせて欲しいくらいです。
しかし、カール地形はいつまでも楽園じゃない。
最後は反り立った壁のような急斜面を、つづら折りの登山道で登らなければなりません。
楽園からゾンビのような足取りで、黒部五郎の肩まで這い上がってきました。
肩から山頂までは往復30分ほど。
そして今回の縦走登山最後の百名山、黒部五郎岳に登頂できました。
これで、W(ダブル)五郎岳完登です!
黒部五郎岳から太郎平小屋までは、赤木岳、北ノ俣岳、太郎山と小さなピークを超えていくだけなのですが、その距離がエグい。
コースタイムで約5時間ほど、それら小ピークを登ったり降ったりしながら歩かなければなりません。
黒部五郎岳から降りる途中ですれ違ったテン泊装備のおじさん登山者に「太郎平小屋からどのくらいかかりましたか?」と聞いたところ、「いや~、もうバテちゃって、バテちゃって、7時間くらいかかりましたよ。」と言われたときは、戦慄を覚えました。
でも、その後すれ違う他の登山者に同じことを聞いたところ、概ね4~6時間ほどということが分かり、とりあえず日没前には着くだろう、と不安を拭い去りました。
北ノ俣岳についた頃には、すでにヘトヘト。雲行きもだんだん怪しくなって雨の心配をしていると、第2村民(雷鳥)が現れ、私達の眼前を歩いていきました。
う~ん、これは天気が持たないか~?でも、雷鳥ってやっぱりかわいい。
何とか雨に振られず太郎山に着くと、そこには見事なお花畑が広がっていました。
「ほら、A原さん見て。お花畑すごいよ!」と声をかけても「へぁ~?」って感じでA原さんは疲労困憊。
A原さんは放心状態なので、私だけお花畑を清い気持ちで眺めていると、そこにチョロチョロ動く生き物が。
上の写真のどこにいるか分かりますか?
本日の第3村民(雷鳥)を発見。なんと1日で3回も雷鳥に出会えるとは。
それもこんなお花畑で出会えるなんて。花をついばんでるみたいだけど、雷鳥って花を食べるのだろうか?
すでに時間は15時頃。だいぶ歩いてきているのだが、まだ太郎平小屋は見えず。
草原の中に池塘が点在する絶景とも言える景色しか見えない。
そして16時過ぎ、ようやく眼下に太郎平小屋が見えた!あ~~~、やっと着いた~。
こちらでテント場の受付を済ませようとすると、17時までは太郎平キャンプ場の現地で受け付けているとのこと。
また、現地でビールやコーラも売っているとのこと。
現時刻は16時20分!太郎平キャンプ場まで約20分!なんてこった。休む暇もない。急がなくては!
もうヘロヘロでゾンビのようなA原さんを置いてけぼりに、O田は最後の力を振り絞って全速力!
なんで小屋からこんなに遠いんだ~😭
なんとか、17時前にはキャンプ場に到着し、受付を済ませて、ビール2本とコーラを購入。
程なくして、A原さんもテン場に到着。途中、ゾンビのように歩いていたA原さんは他の登山者に「もうちょっとですよ。」と、だいぶ励まされたみたいです(笑)
何はともあれ、ビールで乾杯🍻して今日の頑張りを労いあいました。
結局今日は雨に降られず雲も晴れ、カラッとした暑さと山の中で飲むビールは最高でした❤️
今日のご飯はドライカレーとたまごスープ。
今日も美味しく出来ました❤️
(でも尾西のドライカレーは肉類が入ってないので、ソーセージなど足すともっと美味しいなと思った。)
こうして3日目のロングトレイルも無事に完登。明日はゆっくり出発でいいのですが、早々に寝てしまいました。
翌朝、一晩寝れば元気いっぱい。
4日目の最終日は太郎平から下山口の折立まで、約3時間30分ほど降るだけ。
それにしても4日間とも朝は青空のドピーカンで天気に恵まれました。
昨日は急いでて写真撮れなかった遠くに見える黒部五郎岳をバックに記念撮影。
それにしても、、、黒部五郎岳は霞んで見えるほど遠いな、、、。あんな遠くから歩いてきたとは。
それにしても、、、私、ヒゲが、、、まるで熊だな😭
眼下に有峰湖を覗きながら、気持ちの良い青空の下、山を降ります。
名残惜しいけど、これを降りきったらついにこの縦走も終わってしまいます。
しかし、最後に事件が起きました!
折立の登山口まであと15分ほどというところで、登山道の脇から「バキバキッ!」と枝が折れる音が。
ふっと音のした方を振り返ると、私の後ろにいたA原さんが「くま、、、!?」っと言った。
私も、もう一度茂みの中を見ると、なんとなく黒くて大きい何かがうごめいている。
これはまずい!近すぎる!(上の写真くらいの位置でA原さんから2~3mくらいか)
熊と出会ったら、ゆっくり後ずさりするのがセオリーだが、それはある程度距離が離れている時だけ。
「とりあえず離れよう!」とA原さんに声を掛け、なるべく慌てず登山道を駆け降りた。
そして駆け降りながら、ザックの横ポケットに入れておいた熊スプレーを取り出し、安全ピンを抜いた。
念の為、会装備の熊スプレーを借りてきたが、まさか自分が使用者第一号になるかも、とは。
時折り振り返って、熊が追ってこないか見ながら50mほど離れたが、熊が追ってくる様子はなかった。
A原さんは「熊は木の根っこ辺りに顔突っ込んで、なにか食べてた。」とのこと。そのおかげで熊は我々に興味を持たなかったようだ。
とりあえず一安心、だけどもう少し離れた方がいい。
あまりに突然の出来事に少し身震いを感じながら、私達はその場を後にした。
熊と会った地点から200mほど降りたところで、登山中の高齢男女2人組に出会ったので「この先200mくらいのところに、熊が居ました。なので、もう少し時間をおいてから登ったほうがいいかも。」と話をしました。
すると女性の方は目を丸くして「え!?熊!?」と驚きの声を発したが、男性の方は意外と冷静に「そうですか~。」と。
「じゃ、気を付けて行ってきますわ~。」と登山を再開。
そして歩きながら「熊さん、熊さん、これから行きますよ~。」と大きな声で熊に(?)呼びかけながら、行ってしまいました。
えーーーー?この辺りじゃ、熊との遭遇は珍しくないのかな?
その後10分ほどで折立の登山口に無事下山出来ました。
いやー、ほんとによかったー。
そして建物には熊に注意の張り紙が貼ってありました。(昨年の張り紙だろうけど)
その後、新宿行のバスに乗って温泉施設に立ち寄り、4日分の汗と匂いを洗い流して帰宅しました。
最後の最後で、熊との遭遇というこれまで未体験のハプニングがあったものの、野口五郎岳と黒部五郎岳の北アルプスW五郎をつなぐ4日間の大縦走ができたことは、本当に楽しかったです。
黒部五郎岳のカールにはまた行きたいな~。本当に最高でした。
そして今回も同伴してくれたA原さん、熊のエサにならずに良かったです。
ではまた、次回の山行もよろしくお願いします。