カムイエクウチカウシ山へ
通称カムエク。熊の転げ落ちる山。
我々にとって間違いなく難関で厳しい山であった。
昨年7月に挑むも悪天と増水で八ノ沢出合にて撤退。そのリベンジでもある。
個人的には4年前にも途中撤退しているため、まさに三度目の正直。満を持して事前の情報収集、トレーニングを行ってきた。
そして今回は2,3日目が晴れ予報と出た。雨に祟られることが得意な我々にやっと訪れたチャンス。緊張と期待で準備する
参加者は今回も同行してくれるT、A、Oと私Iの4名である。

(これは昨年撤退時の画像)
この山は天気予報とともに沢の流量把握も重要。国交省のダムリアルタイム情報サイトの札内川ダム全流量が目安となる。5㎥/s以下なら問題ないが、10以上は要注意で20以上はロープ必須、自信が無ければ行かないと他のブログも参考にする。
9/4
明日からの晴れ予報とは別に前日までの雨が多かったらしく、機内から見下ろす十勝平野は所々に大きな水溜まり。登山口10km手前の日高山岳センター到着時で全流量37㎥/sと行ける状況にない。しかも外は雨足が強くなっている。八ノ沢出合までは本流のため増水は早いが引くのは時間がかかるらしい。メンバーからの「行けないよ~」オーラを一身に浴びつつ、この日は登山口の札内川ヒュッテ停滞。初っ端からつまずく。
9/5
朝から晴れるが、登山口からすさまじい沢の轟音。明らかに流量が多い。
昨夕小屋にきた人も、今朝登山口にいた人も、カムエクは登れないから別のところへ行くと去っていった。益々不安に思うが、まずは自分の目で確認するしかない。


七ノ沢出合から入渓となる。流量は多いが全く無理いうほどではなさそうなので、行けるところまで進もうと判断。しかしスタートから渡渉ポイントに悩む。昨年ここで別パーティーが100mほど流されたのを見ており、この先で別の溺死事故も起きている。
何とか行きたい思いと絶対に事故は起こせない思いが交錯しつつ、とにかく安全対策、メンバーの表情、足の運び、そして地形と流量の強さ、渡渉点や各所ルーファイなど、目まぐるしく判断する場面が続く。ビビりで神経質な私はその都度うろたえ苦悩する。

30mロープで確保を2回、スクラム渡渉を3~4回、何とか14時過ぎに八ノ沢幕地に着く。約6時間。沢区間はコースタイムの2倍は要した。重い荷に加え、ルーファイや渡渉点の探索と通過時間が影響した。



ここで泊まるか、この上の999mポイントで野営するか、翌日以降の効率を考えると後者だが、安全面を考え幕営とする。夕方ガイド連れ含む複数パーティーがやってきて情報交換とお互いの労をねぎらう。我々が通過した時間で全流量が25㎥/sと聞き、間一髪という感じだ。

9/6
夜明けとともに出発する。今日も好天。沢歩きが続くがここからは未知でもありルート選択はより気を遣う。999m地点まで予定タイムと大差なかったので、できれば本日中に登頂し下山(今夜は宿予約もしていた)も考えていたが、その後の急激な登りに苦しむ。先の水量が読めないため沢靴のまま進む。過去の事故後対策か、下調べよりはロープやピンテが追加されている印象。しかしこの登りのペースダウンで本日中の下山は無理と悟る。


やっと八の沢カールに出た。ここはまさに楽園のような空間。

登山靴に履きかえ、トレースも明瞭になってくるが、稜線に出てからの登りもしんどい。ただ眼下に見下ろすカール、見えてくる日高の山並みに歓声が上がる。もう少しだ。

そして
四人で歓喜と安堵、そして別のパーティーとも「お互いよく頑張りました」と讃えあう。

下山も慎重に。帰りのカールではA&Oさんがナキウサギと出会えたらしい。そこからの急降は想定以上に時間がかかるが、行きの状況から999地点まで登山靴のままが安定すると判断、疲れもあるのでとにかく慎重に進む。

再び沢靴に履き替たえ999地点からは、幕地に日没までに戻れるかが際どい状況となってきた。時間とペースを気にしつつ、Tアニキが釣りで培った渓相の見極めで大きなロスなく誘導してくれたのはとてもありがたかった。

日没ギリギリに幕地に戻る。予定より大幅な時間超過だが無事でなにより。
皆相当疲れていたと思う。本来なら宿で乾杯のはずが、今晩も湿った身体でテントに入る辛さも、飲水確保の煮沸の手間や酒が切れる禁断症状も、それでも明るく振る舞うA、O両名には本当に頭が下がる。
9/7
空の様子から午前中の天気は持ちそうだ。
さすがに晴れが2日続くと水量も落ち着き、渡渉も一部スクラムを組む程度で、ルーファイも大したロスをせず帰りはほぼ計画時間で下山、

とにかく無事に帰還できたことが嬉しい。
山岳センターに寄り下山を伝え、その後街に出て風呂と食事。厳しかった山行から解放される。

尊敬するWママから出発前に言われた言葉を思い出す。
「こんなに一緒に行ってくれる人いないわよ」
皆さん、本当にありがとうございました。
尚、熊の糞はあちこちあり。大きな足跡も確認。熊スプレーと携帯フードコンテナは山岳センターでもレンタルできる。ある意味手軽かもしれない。
おまけ
帰りの荷物検査場で、すべての登山道具を広げされられてチェックされるOさん。出発前のパッキング時も含め苦労が絶えなかった。よく頑張りました!

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