マチガ沢東南稜:秋晴れの冒険行(2026/10/3)

10月初旬、谷川の空は澄みきっていた。 前泊組(左)と弾丸組(右)がそれぞれ夜を越え、谷川岳インフォメーションセンターの駐車場で合流したのはまだ薄暗い早朝。そこから巌剛新道へ向かい、第一見晴らしでは空が明るくなり始めていた。

この日は我々を含めて3パーティーがマチガ沢へ。東南稜が2、東尾根が1。谷川の朝は少しだけ賑やかな気配が漂っていた。
「東南稜のⅤ級は嘘、5.10bくらいあるよ」 ガイドらしきパーティーの一言に、全員の背筋がすっと伸びる。今日の山は簡単には通してくれないらしい。
■ マチガ沢への下降、そして長いアプローチ


第一見晴らし横から慎重に下降し、マチガ沢へ。ここから東南稜へのアプローチが始まるが、これが長い。 ルート経験者はゼロ。地形図と事前情報を照らし合わせながら、あーだこーだ言いながら進む時間は、まさに「冒険」。
へつり、高巻き、ゴルジュ……どれも一筋縄ではいかない。
へつりポイントでは「落ちたらドボン」。高巻き組とへつり組に分かれたが、結局は高巻きはルート復帰が難しく戻ってへつることに。 沢の水音が近く、緊張と笑いが入り混じる。
■ ゴルジュ突破

ゴルジュに到達すると、正面突破はどうにも難しい。
Tまが偵察に出るもドツボにはまり、回り込んだメンバーからロープを出してもらいなんとか復帰。
さらに「どこか避けられないか」と左から高巻きを試みるが、やぶ漕ぎの薄い踏み跡はしばらく粘ったものの抜けられず、最終的に立木に支点を構築して懸垂下降しルート復帰した。
振り返ると、もう少し粘れば傾斜の緩いスロープに抜けられたかもしれない。 だが、こうした「判断の積み重ね」こそがバリエーションの醍醐味だ。
■ 四ノ沢出合い手前の黒い2段滝

四ノ沢出合い手前の黒い2段滝は、濡れてヌルヌル。 突破ルートは限られ正面には残置スリングがあるが、どうにも上がれそうにない。 左の乾いたスラブを慎重に突破し、ロープを出して後続が続いた。
■ 四ノ沢出合いから本谷へ、そして取り付きへ

四ノ沢出合いに到達し、右の本谷へ。 事前情報では標高1,850mが取り付きだったが、実際は1,810mで取り付き、クライミングシューズに履き替えた。
ここからは2パーティーに分かれて進む。


◆ 第1パーティー(Y崎・Sんこ)
1P(Sんこ) 階段状に右上し、左へ回り込んで凹角へ。残置ハーケンあり。 凹角後の右上は濡れてヌルヌル。お助け3連スリングに救われる。
2P(Y崎) 右クラックと左ルートの二択。左を選んだが、クラックに合流するトラバースが悪く後悔。 ロープの流れも悪く、予定より早めにピッチを切る。
3P(Sんこ) 予定の2P終了点を目指して伸ばす。
4P(Y崎) 灌木と岩の間を抜けると新しいハーケンがあり、そこを終了点とした。
5P(Sんこ) 初見ルートのためロープを引きながら慎重に。トラバース手前で終了。
◆ 第2パーティー(O田・A原・Tま)
1P(Tま) 先行パーティーがいる安心感。お助けスリングがなければ厳しかったかもしれない。 右上して残置ハーケンの終了点で合流。
2P(Tま) 右側クラックを選択。お助けスリングあり。 残置ハーケンも豊富で中間支点を取りながら終了点へ。
3P(Tま) 前2ピッチより易しく感じる。要所で支点が取れストレスない。Y崎と合流。
4P(O田) トラバース手前で終了。
■ 稜線へ、そして一般道へ
10〜15mほどトラバースし草付きを登る。 ここではY崎がカムで支点を作りFIXロープを張ってくれていた。 アッセンダーで上がりストレスフリー。
その後は緩い草付きを登り、国境稜線へ。 一般登山道に合流した瞬間、長い冒険がふっと終わった。
アプローチは水の浸入もなく、アプローチシューズで十分だった。


